夫婦間の定期預金

夫婦間で定期預金口座の名義を分けることは、珍しいことではなくなってきました。マネーロンダリング対策などとして、本人確認が重要になってきているからです。そしてぜひとも覚えておきたいのは、たとえ夫婦間の定期預金であっても、夫婦間で資金移動がある場合には贈与税の対象となることです。

夫婦の共同財産としての定期預金

夫婦間の定期預金については、特に意識することなく夫婦どちらかの名義で銀行に預け入れられている方も多いと思います。結婚後は多くのご家庭で、夫婦2人の共同財産として、将来の子供の教育費のため、マイホーム購入のため、または老後資金のためといった様々な目的で貯蓄されています。ご家庭によっては、夫婦共働きで夫と妻できっちりお互いの財産を分けて管理されている場合もあるでしょう。

夫婦の財産管理は各家庭によって異なりますが、夫婦の収入は家族の生活費として使われ、貯蓄も夫婦の将来のためのものなので、銀行の口座にあるお金は夫婦2人のものという意識が夫婦間で芽生えやすくなります。そのため、定期預金の名義人も夫名義であろうと妻名義であろうとあまり意識されずにどちらかの名義が使われています。一昔前までは、家計を管理する通帳の口座は一家の大黒柱である夫の名義にされる方が多かったです。銀行窓口には家計を担う奥様が来店され、ご主人名義の生活費口座や貯金用口座を使って銀行間取引をされるのが日常風景でした。窓口係もそうしたご家庭の事情を察したうえで対応していました。

ところが、マネーロンダリング対策が国会でも審議されるようになり、さらには銀行口座を悪用した事件が相次いたこともあって、銀行口座の利用は口座名義人本人であることが求められるようになりました。そのため窓口に通帳を持参された依頼者が口座名義人ご本人かどうかの確認が窓口でなされるようになったのです。そうすると、窓口に来る奥様が自分名義で家計口座を作っておく方が取引しやすくなります。そうしたことから、家計口座には妻名義のものを使う人が増え始めました。さらに、定期預金を作る時も、夫名義にしておくと満期が来て解約する時に夫自身が来店するか委任状を用意しなければならないので、定期預金も妻名義の方が便利ということになります。こうして、夫婦間の預金口座は状況に応じて夫名義と妻名義に分けて使われることが増えてきました。

夫婦間の贈与税

ここでは、夫婦間の定期預金について以外と知られていない注意点を挙げておきます。まず、知っておきたいことは、夫婦間であっても贈与税が発生するということです。夫婦の間で一定の財産の資金移動があれば、そのお金が贈与とみなされて贈与税がかかるのです。他人から他人へのお金の贈与や親から子へのお金の贈与の際に、110万円の基礎控除以上の金額であれば、贈与税がかかります。それと同じように、たとえ夫婦であっても基礎控除以上のお金の贈与があれば贈与税の対象となります。つまり、夫の定期預金を解約して妻の口座に入金した場合に、その金額と理由によっては贈与税がかかってしまうのです。そうはいっても、夫婦の場合は生活共同体であり、夫婦の間で資金の移動はよくあることです。支払いの関係で給与振込口座となっている夫の口座から妻の口座へお金を振り換えるということは日常的に行われています。生活費に使う口座として夫婦の共有名義で銀行口座を開ければ良いのですが、現状では共有名義での口座開設が認められていません。そのため、夫婦どちらかの口座にあるお金が実質的共有財産とみなされます。

贈与税の特例

夫婦の間に発生する贈与税といっても例外は認められています。まず、夫婦間において贈与税がかからないのは、その資金が夫婦の生活費である場合です。夫婦には互いに扶養義務があります。そのため、妻や子供の生活費に使うお金には贈与税は発生しません。通常かかるであろう生活費、つまり家賃、光熱費、食費といった支払いのために夫から妻の口座にお金が振り込まれたとしても、それには贈与税はかかりません。また、子供の教育資金を支払うために資金の移動があった場合にも贈与税はかかりません。例えば、ある程度まとまった額の夫名義の定期預金満期金が妻の口座に振り込まれたとします。その振込まれたお金が子どもの大学進学のための支払いに使われるような場合は、贈与税の課税対象とはならないのです。さらに、夫婦が居住するための不動産購入をした場合、所有権登記がそれぞれの資金負担に見合っていれば贈与税はかかりません。また、夫婦のどちらかが居住するための不動産を購入する場合においては、2000万円までの贈与が認められています。これは配偶者控除といって、結婚期間が20年以上の夫婦の場合に認められている特例です。こうした夫婦間の贈与税についてはあまり知られていないのが現状です。

離婚時の定期預金

次に、夫婦間の定期預金で問題となるのは、離婚時です。離婚するとなると、夫婦の間で資産をどう分けるかが話し合われます。夫婦間で財産分与する際には、家や車といった物の他に、定期預金を含む預貯金が対象となります。その時、夫婦が持っている定期預金が夫婦共有財産であるか個人財産であるかによって分与財産となるかならないかが決まります。口座名義人がたとえ夫名義であろうと妻名義であろうと、その定期預金がどういう経緯でなされたかによって、その定期預金の真実の預金者が決まります。離婚時における財産分与の対象はあくまでも結婚している期間に夫婦で協力して蓄えられた財産です。夫婦が共同で蓄えてきたものであれば、定期預金の名義人が夫婦のどちらかであっても、あくまでも夫婦間の共有財産とみなされます。一方、離婚時に財産分与の対象にならないのは、「特有財産」と呼ばれるものです。保持している定期預金がこの特有財産にあたれば、夫婦間の財産とは認められません。ここでいう特有財産とは、夫婦の一方が単独で有する財産のことで、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産」や「婚姻中自己の名で得た財産」をいいます(民法第762条1項)。「夫婦の一方が婚姻前から有する財産」とは、つまり、夫もしくは妻が結婚する前に蓄え個人で持っていたもののことであり、この場合の定期預金は離婚時における財産分与の対象にはなりません。夫もしくは妻自身の財産になります。「婚姻中自己の名で得た財産」とは、たとえばその定期預金が結婚している期間中に作られたものであったとしても、その資金源が相続によって得られた財産による場合などです。相続財産の場合は、夫婦の共有財産とはいえず、相続した人の個人財産となります。

夫婦間の定期預金が共有財産だったとしても、夫婦の間で揉め事が起こり別居することになった場合は、財産の保全もあいまいな状態になります。そのため、別居した後に勝手に夫名義もしくは妻名義の定期預金を解約されてしまうことがあります。これについては、離婚することになった場合に財産分与の対象となるのは「別居時の残高」になりますので、解約された金額分も含めて財産分与の支払い要求をすることができます。そのため、別居時点での預金残高がいくらあるのを把握しておく必要があります。

結婚前に蓄えた定期預金の管理

このように、夫婦間の定期預金には気を付けておくべきことがあります。たとえ夫婦とはいえ、お金にまつわるトラブルは発生しています。特に、夫婦間で揉め事が起きると問題は深刻化します。離婚に発展すると資産分割もスムーズにはいかなくなり、最終的に弁護士に依頼して解決せざるを得なくなります。自分自身の個人資産を守りたい場合は、結婚前に蓄えた定期預金を家計の口座とは別に管理しておくなど対策を講じておいた方が良いでしょう。そして、夫婦間の定期預金であっても、資金移動があれば贈与税の対象になることは心得ておく必要があります。税務署の調査が入った時に、いくら贈与税について知らなかったと主張しても、知らないからといってそれが認められることはありません。

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