マイナス金利導入後の定期預金の状況

日本銀行によるマイナス金利の導入以降、多くの銀行では定期預金の預金金利が引き下げられています。高金利で知られているネット銀行も例外ではありません。

メガバンク地方銀行とネット銀行の金利の違い

日銀によるマイナス金利導入後、民間銀行は普通預金や定期預金などの預金金利を引き下げています。民間銀行は、銀行預金の預金金利を設定する際、市場金利(10年国債が市場で売買されている金利水準)や日銀が設定する政策金利などを基準に預金金利を設定する傾向があります。マイナス金利導入直後は、たちまち市場金利がマイナス圏で推移していたため、市場金利にあわせて預金金利を引き下げる動きにつながっています。

ただし、マイナス金利は日銀に当座預金口座を開設している金融機関の預金残高に課せられますが、全ての金融機関がマイナス金利を支払う義務を負っているとは限りません。マイナス金利が課される対象は、日銀の当座預金口座に預ける新規増加分の預金残高です。日銀の当座預金残高を新規に増加させなければ、マイナス金利を負う必要はありません。日銀当座預金とは、銀行などの金融機関が金融機関同士の日々の決済などに使用している預金口座であり、日々、最終決済を終えた資金が預けられています。そのため、国債などの資産運用商品の購入や企業などを相手先とした貸出を行うことで減らすことも可能です。

マイナス金利の導入以降、多くの銀行で定期預金の金利は引き下げられていますが、全ての金融機関が一律に超低金利を設定しているわけではありません。定期預金は、安全性の高い金融資産であり、個人の資産運用においても切り離せないものです。また、定期預金を集める銀行においても、定期預金は貸し出しなどの原資になることや銀行の体力を示す指標とみられることから、多くの定期預金を集めたいという意図は、マイナス金利導入前後から変化がないものだと考えられます。しかし、マイナス金利は日銀当座預金へ新規に預け入れられた預金に課せられるため、マイナス金利の影響度合いによって預金金利が設定されている側面もあると考えられます。

マイナス金利の導入によって、多くの銀行では定期預金の預金金利を引き下げています。そのような中で他の銀行と比較して定期預金の金利が高い銀行は、住信SBIネット銀行や楽天銀行などのネットバンクです。ネットバンクは、インターネット環境があれば、日本全国どこからでも無料口座開設や取引などのサービスを受けられます。ただ銀行業界の中では比較的歴史が浅く、支店などの実店舗を持たないため、実質的な営業基盤といえる地域はありません。預金残高は銀行として経営を行ううえで生命線の一つともいえ、継続的に定期預金を集める必要があるため、ネットバンクは比較的高い金利を設定していることが考えられます。

他方、ネットバンクは全般として個人向け金融商品やサービスの提供にも注力しており、投資信託や保険商品などの運用商品の販売によって収益を稼いでいます。また、集められた預金は法人企業ではなく、住宅ローンやカードローンなど個人向けの融資が中心となっていますので、他の銀行よりも不良債権などのコストも低くなっています。ネットバンクのこのような収益構造はマイナス金利の影響を受けにくい仕組みとなっていますので、同業他社比でも高い水準で定期預金の金利を設定することが考えられます。

地方銀行は定期預金の金利について、概ね金利引き下げで対応しています。地方銀行は、メガバンクの小規模地域版といえる銀行であり、収益構造も類似しています。特にマイナス金利を導入したからといって、たちまち地方の大企業や中小企業が借入を増加するわけではありませんので、融資が厳しい地域を基盤とする地方銀行においては、融資が伸びない中で預金量が増加してマイナス金利の対象となる可能性も否定できません。このような点から引き続き、地方銀行は定期預金の金利を低金利で据え置くことが考えられます。ただし、一部では上乗せ金利を適用した定期預金キャンペーンを展開している地方銀行もみられます。キャンペーン定期については、利用して損はないでしょう。

みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行などのメガバンクは、マイナス金利導入後、普通預金や定期預金の金利を引き下げて対応しており、業界最低水準の低金利を設定しています。しかし、メガバンクは業界最高水準の信用力を誇っており、金利水準に関わらず信用力があるから預金している人も少なくありません。そのため多少、預金金利が引き下げられたところで、たちまち多くの預金が引き出されることはないことが考えられます。仮に預金金利を高く設定している他の銀行と同じ水準で預金金利を設定した場合、信用力が高い分だけ預金が集まりすぎることが想定されます。そうなるとマイナス金利が課される可能性まで出てきますので、過度な預金を必要とはしていません。

また市場金利がマイナスまで低下していることから、メガバンクは金融市場を通じて低金利でお金を調達することもできます。金融機関同士が資金の運用や調達を行っている金融市場をインターバンク市場といいますが、インターバンク市場において貸出や借入に伴う金利は、一般として信用力を基に決められる傾向にあります。メガバンクはインターバンク市場において、他の銀行と比較してもかなりの低金利で借入を行うことができます。メガバンクは金融市場を通じて低金利で資金を調達できるため、当面、定期預金の金利を低い水準で設定することが考えられます。

現在のところ、メガバンクは、マイナス金利が銀行収益に多大な影響を及ぼす場合においても、預金金利をマイナス金利に設定することは考えていないようです。なぜなら一般の預金にマイナス金利を設定すると、預金者離れを引き起こす可能性も否定できないからです。ただし、マイナス金利を設定しない代わりとして、口座手数料の有料化など、個人口座の利用などに手数料負担を求める手段を講じる可能性はあります。そうした意味では金融関係のニュースに対して、常にアンテナを張っておくほうがよさそうです。

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