ATM

ATMと利用手数料

ATMとは?

ATMとは?

ATM(現金自動預け払い機)は、キャッシュカードや預金通帳を使って、普通預金口座の入出金や残高照会などの取引ができる機械です。

おもに金融機関の本支店や出張所に設置されている「金融機関ATM」や、コンビニ店舗内に設置されている「コンビニATM」があり、いずれも外出時に取引ができます。

ただし、取引する際は所定の手数料が発生します。たとえば入出金取引を行う際には、その都度ATM利用手数料を支払う必要があります。

金融機関のATM手数料

金融機関のATM手数料

ATM利用手数料は金融機関によって異なり、無料の金融機関もあれば、200円以上かかる金融機関もあります。

そのためATM利用手数料の安い金融機関で取引するのも一つの方法です。

変わるATM利用手数料

変わるATM利用手数料

ATM利用手数料は、しばしば金融機関の経営状態に応じて変動します。

たとえば最近では、2016年のマイナス金利政策の影響で、多くの金融機関がATM利用手数料を値上げしています。

それというのも、長期間にわたって低金利傾向が続く日本の金融機関の多くは、収益の確保が年々困難になっているからです。

ATM利用手数料の値上げ

ATM利用手数料の値上げ

そのうえ日本銀行によってマイナス金利のような金融機関側の負担が増える政策が実施されたため、収益を増やす目的でATM利用手数料の値上げが実施されています。

中にはATM利用手数料の値上げだけではなく、振込手数料の値上げ、定期預金金利の引き下げ、新たな手数料の新設などを行う金融機関もあります。

ATMの優遇措置の廃止

ATMの優遇措置の廃止

金融機関があからさまにATM利用手数料を値上げすると、利用者が離れていくかもしれません。

そこで一部の金融機関はATM利用手数料の値上げを行う際、優遇措置の廃止を利用した実質的な値上げをしています。たとえばマイナス金利政策が始まった2016年に、メガバンクの三井住友銀行がATM時間外利用手数料の優遇措置を廃止しています。

三井住友銀行では、それまで預金口座の残高が10万円以上だと、平日午後6時以降のATM時間外手数料(当時108円)が無料になる優遇措置を提供していました。しかしこれを廃止して、すべての利用者からATM時間外手数料を徴収するようになったのです。

そのため金融機関と取引する際は、ATM利用手数料に関する優遇措置の廃止にも注意する必要があります。

ATM利用手数料の節約

ATM利用手数料の節約

このように積極的に値上げされているATM利用手数料ですが、工夫次第でいくらか節約することも可能です。

たとえばインターネット銀行は、ATM利用手数料が毎月一定の回数まで無料になるサービスを提供している場合が多く、無料でATMを取引したい利用者が活用できます。

メガバンクや地方銀行などの地域金融機関も、ポイントサービスの優遇特典でATM利用手数料の割引をしたり、提携金融機関同士でATMを相互に開放して、互いのATMを手数料が無料で取引できるようにしています。

ATMの共同化

ATMの共同化とは?

ATMの共同化とは?

マイナス金利政策などの影響で、金融機関は経営が悪化しています。そして収益確保のために、ATM利用手数料の値上げ以外の取り組みもしています。

その一つがATMの共同化です。なぜならATMを運営する際には、ATM本体の購入費や維持費といった高額のATM関連コストがかかるからです。

そのため、一部の金融機関は提携金融機関同士でATMを共同利用して余分なATMを廃止し、ATM関連コストを削減する取り組みをしています。

それどころか、一部の地方銀行ではATMだけではなくて店舗窓口の共同化までも行っており、サービスの共同化によるコスト削減効果をはかっています。

三菱UFJ銀行と三井住友銀行のATMの共同化

三菱UFJ銀行と三井住友銀行のATMの共同化

2019年9月には、メガバンクの三菱UFJ銀行と三井住友銀行が店舗外ATMの共同化を開始しています。共同化にともなって、両行は設置エリアが重複する一部のATMの廃止を検討しています。

さらに三菱UFJ銀行と三井住友銀行の利用者は、両行のATMを一部、ATM利用手数料が無料で取引できるようになりました。

通常は他の金融機関のATMで取引をすると、ATM利用手数料が割高になるケースがあります。ですのでATMの共同化は金融機関だけではなくて、利用者にとっても意味があります。

ATMの共同化で利用できないサービス

ATMの共同化で利用できないサービス

ただし三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、ATMサービスを完全に共同化するわけではありません。

そのため、預金通帳による取引や生体認証、暗証番号変更などを行いたい利用者は、従来通り、自分が取引をしている金融機関のATMまで行く必要があります。

地域金融機関のATMの共同化

地域金融機関のATMの共同化

地方銀行や信用金庫といった地域金融機関の多くは、営業地域の近い地域金融機関同士でATMを共同化しています。

たとえば、九州地域の地方銀行10行は九州ATMネットワークを構築しており、10行それぞれの利用者が各行のATMで活用できます。

全国の地域金融機関が同様のサービスを行っているため、地域金融機関と取引する際は提携金融機関のATMも上手く活用して取引したいです。

ただし、提携金融機関のATMであっても、時間帯によってはATM利用手数料が発生するので注意が必要です。

ATMの共同化のデメリット

ATMの共同化のデメリット

ATMの共同化にはデメリットもあります。たとえば前述の三菱UFJ銀行と三井住友銀行のように、基幹系システムが異なる金融機関同士がATMを共同化すると、預金通帳の相互開放ができません。

預金通帳の相互開放ができないと、提携金融機関のATMで預金通帳を使った取引が行えないため、預金通帳で取引したい利用者にとっては不便です。

もっとも昨今は、印紙税削減を目的に通帳レス口座を導入する金融機関や、インターネットバンキングやスマートフォンアプリで残高照会できる金融機関が増えており、預金通帳の必要性が減りつつあります。

普通銀行のATM

日常的に利用されているATM

日常的に利用されているATM

金融機関では、店舗窓口やATM、インターネットバンキング、スマートフォンアプリなどで金融商品の取引を受け付けています。このうちでとくに利用されているのが、ATMやインターネットバンキング、スマートフォンアプリです。

中でもATMは預金口座の残高照会や現金による入出金ができるため、日常的に利用されています。

しかしATMは利用者にとって利便性が高い反面、金融機関側にとっては支払うコストが高いです。

ATMにかかるコスト

ATMにかかるコスト

たとえば、ATM1台あたりの購入費は数百万円、賃料や警備費、現金輸送費などを含めた維持費も月々30万円ほどかかります。

低金利の長期化や、マイナス金利政策などの影響で経営が悪化傾向にある各金融機関にとっては、このようなATM関連コストはかなりの負担となっています。

ATM関連コストの削減

ATM関連コストの削減

そこで、メガバンクや地方銀行を中心とする普通銀行は、提携金融機関同士のATM共同化などを行って、ATM関連コストを削減しています。

ATM関連コストの削減は業界全体の重要事項となっており、普通銀行同士の合併にともなって、店舗だけではなくてATMの統廃合も行われることがあります。

キャッシュレス決済とATM台数の削減

キャッシュレス決済とATM台数の削減

キャッシュレス決済の普及とともに、ATMおよびATM関連コスト削減を目指す動きも出てきています。

「キャッシュレス決済」とは現金を使わない決済サービスのことで、おもに自動振込や口座振替、電子マネー、仮想通貨などで決済することを指します。

キャッシュレス決済が普及すれば、各種支払いの際に現金を使う頻度が減ります。そのためATMで頻繁に現金の入出金する必要もなくなり、ATMの台数の削減につながるのです。

普通銀行のキャッシュレス決済サービス

普通銀行のキャッシュレス決済サービス

全国の普通銀行では、すでに自動振込や口座振替、電子マネーなどによるキャッシュレス決済サービスを取扱っています。

ですので、現金を使わずに公共料金などの各種料金を支払ったり、電子マネーのチャージを行うことができます。

スマホによるキャッシュレス決済

スマホによるキャッシュレス決済

さらに昨今は、スマホ決済の台頭も著しいです。スマホ決済は専用アプリを利用するキャッシュレス決済の一種です。

あらかじめ専用アプリにクレジットカードや預金口座を紐づけしたり、必要金額をチャージしておくと、加盟店でスマートフォンによる決済が行えます。

すでに様々な企業が参入していますが、2020年春には日本電子決済推進機構が運営するスマホ決済、「BankPay(バンクペイ)」が正式リリースされました。

BankPayによるATMの削減

BankPayによるATMの削減

BankPayは銀行口座を紐づけて決済するサービスで、決済時に利用金額が即時引き落とされるため、デビットカードと同じ感覚で利用できます。

正式リリース後は最大1,000以上のメガバンクや地方銀行が参加を予定しており、全国の普通銀行の利用者が銀行口座を紐づけして決済を行えます。

BankPayの登場によってATMの必要性はさらに低下すると見られており、普通銀行のATM削減に影響を与える可能性があります。

ゆうちょ銀行のATM

ゆうちょATM

ゆうちょATM

ゆうちょ銀行は全国各地で営業を行う金融機関です。店舗数とATM設置台数はともに数万規模で、ATMにいたっては32,000台に達しています。

ゆうちょ銀行店舗内や郵便局内に設置されている「ゆうちょATM」では、主にゆうちょ銀行のキャッシュカードを使って同行の通常貯金の入出金や残高照会、振込振替などが行えます。

その際のATM利用手数料は、曜日や時間に関係なく一律で無料です。ATM利用手数料や時間外手数料を徴収している他の金融機関とは一線を画しています。

ゆうちょATMと他金融機関との提携

ゆうちょATMと他金融機関との提携

さらに、ゆうちょ銀行は国内1,400の金融機関と提携しているため、全国の金融機関のキャッシュカードでゆうちょATMを取引することも可能です。

ただし、他の金融機関のキャッシュカードを利用する際は、当該金融機関が設定したATM利用手数料が発生する点に注意しましょう。

ゆうちょATMの設置台数の増加

ゆうちょATMの設置台数の増加

昨今は、ATM関連コスト削減のためにATM設置台数を減らす金融機関が増えています。しかし、ゆうちょATMは逆に設置台数が増えています。

設置台数増加の理由は、主にゆうちょ銀行が導入している小型ATMです。小型ATMは取扱いサービスが少ない代わりに、ATM本体の購入費や維持費などが低コストなので、安価で設置できるのです。

また、年々増えている訪日外国人の利用も視野に入れており、世界16言語に対応しており、海外発行カードによる取引も可能です。

ゆうちょ銀行は、コンビニエンスストア大手のファミリーマート店内にこの小型ATMを積極的に設置して、ATM網を拡大しています。

ゆうちょATMとあおぞら銀行

ゆうちょATMとあおぞら銀行

金融機関の中には、自社ATMをゆうちょATMへ置き換えるケースもあります。たとえば、あおぞら銀行は2018年から本支店内の自社ATMを廃止し、代わりにゆうちょATMを用いて取引しています。

あおぞら銀行は自社ATMの設置台数が少なかったので、ATM関連コストの削減のために一気に自行ATMから脱却して、ゆうちょATMへ置き換えたのです。

置き換え以降は、あおぞら銀行のキャッシュカードを使ってゆうちょATMと取引できるようになり、入出金や残高照会をする際のATM利用手数料も無料です。

ちなみに、あおぞら銀行ではセブン銀行ATMやローソンATMでも取引が可能ですが、こちらはATM利用手数料がかかるので注意が必要です。

ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済

ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済

ゆうちょ銀行はATMを積極的に増やしていますが、キャッシュレス決済も普通銀行に先行して導入しています。

具体的には、2019年5月から「ゆうちょPay」というスマホ決済アプリを提供していて、現金を使わずに決済できます。

ゆうちょPayは、ゆうちょ銀行口座を紐づけして決済することができ、「利用金額が即時引き落とされる」「利用上限金額を設定できる」などの特徴があります。

コンビニのATM

自社ATMを廃止する金融機関

自社ATMを廃止する金融機関

キャッシュレス決済の普及やネット通販市場の拡大にともない、少しずつ現金需要が減ってきています。

そのため、高額なATM関連コストを削減する目的も兼ねて、自社ATMを少しずつ廃止する金融機関が増えています。

そんな中で存在感を発揮しているのがコンビニATMです。コンビニATMはセブンイレブンやローソンなどのコンビニ店舗内に設置されているATMで、金融機関の自社ATMと違って設置数は増加傾向です。

コンビニATMの利便性の高さ

コンビニATMの利便性の高さ

コンビニATMの特徴は、その利便性の高さです。

たとえば、コンビニATMはメガバンクや地方銀行といった全国の金融機関と提携しているので、取引金融機関に関係なく誰でもコンビニATMを介して預金口座の残高照会や入出金取引などができます。

そのため、自社ATMを廃止する金融機関が増えても、コンビニATMがあれば安心です。

さらに、コンビニATMでは海外発行カード(クレジットカードやキャッシュカード)を使って日本円を出金できるので、訪日外国人にとっても必要不可欠です。

セブン銀行のATMサービス

セブン銀行のATMサービス

セブンイレブンやローソンは、ATMを設置するだけではなくて、自社のATM網を活かして銀行業に参入しています。

どちらも独自のビジネスモデルを打ち出しており、とくに普通銀行のそれとは大きく異なります。

たとえば、セブン銀行はATMサービスに力を入れており、nanacoチャージや現金受取サービスなどの様々な取引をセブン銀行ATMで行えます。

セブン銀行の新型ATM

セブン銀行の新型ATM

セブン銀行は新サービスの開拓にも積極的で、2019年9月にはNECと共同開発した新型ATMを発表しています。

新型ATMには、顔認証カメラや本人確認書類のスキャナーなどが搭載され、本人確認および新規口座開設を新型ATMで行えます。

さらに、QRコード読み取り機能によるスマホ決済アプリの利用金額のチャージ、無線通信技術によるスマートフォンへのクーポン発行なども可能です。ちなみにセブン銀行ATMの台数は、25,500台を超えています(2021年1月現在)。

ローソン銀行のキャッシュレス決済

ローソン銀行のキャッシュレス決済

ローソン銀行もセブン銀行のように、ローソン銀行ATMでの取引を中心とする金融機関です。ただし、キャッシュレス決済に対するアプローチがセブン銀行とは違います。

たとえば、ローソン銀行は2019年にスマホ決済の導入または提供をする企業のための手数料削減ビジネスに参入すると発表しています。

ローソン銀行の手数料削減ビジネス

ローソン銀行の手数料削減ビジネス

現在、スマホ決済アプリの利用者が利用金額をチャージする際には、同アプリを提供するIT企業は金融機関やクレジットカード会社に手数料を支払う必要があります。

手数料がかかるのは当然ですが、手数料が高いと各IT企業がスマホ決済への新規参入を避ける可能性があります。そこでローソン銀行は手数料削減ビジネスを展開し、IT企業の新規参入の促進と、スマホ決済市場の拡大を目指しています。

ちなみにローソン銀行ATMの台数は、13,300台を超えています(2020年3月現在)。

インターネット銀行のATM

インターネット銀行のATM利用手数料は安い

インターネット銀行のATM利用手数料は安い

普通銀行は、ATM関連コストの削減のために自社ATMを廃止する傾向にあります。

一方で最初から自社ATMを持たない金融機関もあります。たとえばインターネット銀行は、実店舗や自社ATMを持たないインターネット専業の金融機関で、主にインターネットバンキングやコンビニATMから取引を受け付けています。

最大のメリットは金利や各種手数料が優遇されている点で、実店舗や自社ATMを置かないことで浮いた人件費や物件費やATM関連コストを、利用者に還元しています。

とくにインターネット銀行のATM利用手数料は金額が安く、入金や残高照会の際はほとんど無料、そして出金の際に無料になることもあります。

インターネット銀行ATMの無料回数

インターネット銀行ATMの無料回数

インターネット銀行の多くは、ATM利用手数料(おもに出金のとき)を毎月一定の回数まで無料にしています。

月々の無料回数はインターネット銀行によって異なりますが、だいたいポイントサービスのステージに応じて決まります。

ポイントサービスは、取引実績が多いほどステージが上がって優遇特典が豪華になる仕組みで、ATM利用手数料の無料回数もステージが高いほど増えていきます。

ATM利用手数料の無料回数の変更

ATM利用手数料の無料回数の変更

ATM利用手数料の無料回数は、たとえば楽天銀行は最大で月7回、住信SBIネット銀行は最大で月15回まで無料にできます。ただしこの無料回数は変更されるケースがあるため注意も必要です。

実際、一部のインターネット銀行ではポイントサービスのステージが低い(取引実績が少ない)利用者の無料回数を廃止したり、減らしたりしています。

ATM利用手数料の直接的な値上げはあまり行われませんが、無料回数の変更には注意しましょう(無料回数は2021年2月25日現在)。

インターネット銀行のポイントサービスの優遇特典

インターネット銀行のポイントサービスの優遇特典

インターネット銀行のポイントサービスでステージを上げると、ATM利用手数料以外にも様々な点が優遇されます。

ポイントサービスの優遇特典はインターネット銀行ごとに様々ですが、たとえば振込手数料の無料回数が増えたり、貯めたポイントを提携企業のポイントや電子マネーに交換できます。

ポイントサービスを活用すれば、インターネット銀行や提携企業のサービスをより活用できます。

PayPay銀行のATM利用手数料

PayPay銀行のATM利用手数料

ポイントサービスを導入しないで、所定の条件を満たす利用者のATM利用手数料を無料にしているインターネット銀行もあります。

たとえばPayPay銀行はATMで3万円以上の入出金を行う際、いつでも何度でもATM利用手数料が無料です。

これだけでも充分ですが、円普通預金や円定期預金の平均預金残高が3,000万円以上だと、入出金の金額に関係なく常にATM利用手数料が無料です(ゆうちょ銀行は3万円以上に限る)。

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