日常でよく目にする金利は名目金利です。これに物価の上昇率、すなわちインフレ率を加味したものが実質金利です。
普段、私達が目にしている金利は「名目金利」であり、表面上の金利です。これに対して実質金利は、この名目金利に物価の上昇率、すなわちインフレ率を加味したものです。
具体的には、店頭などで定期預金の金利が年1%と表示されている場合、この1%が名目金利です。そして、この1%の金利がインフレにより貨幣価値が下落した場合にどうなるのか、それを考慮したものが実質金利になります。
たとえば100万円の定期預金の名目金利が年5%で、インフレ率が2%の場合を考えます。この100万円は翌年には105万円になっていますが、インフレによって、これまで100万円で購入できたものは102万円に値上がりしているので、実質的には3万円の利子しかついていません。つまり実質金利は3%です。このように実質金利は、名目金利からインフレ率を差し引くことで計算ができます。
反対にデフレのときは、同じ金利でも貨幣価値の上昇によって実質金利はプラスになります。
たとえば、仮にインフレ率を−2%とします。インフレ率がマイナスということは、物が安くなり貨幣価値が上昇している状態を表します。つまり今まで100万円で購入していたものが、98万円で購入できるようになるのです。この状況で定期預金の名目金利が年5%であった場合は、実質的には105万−98万=7万円の利息がついたことになり、実質金利は7%です。
このように同じ金利でもインフレ率により実質金利は違ってきます。店頭の名目金利だけでなくて、実質金利で考えることが大切です。